沖縄県那覇市の法律事務所 「ゆい法律事務所」

よくある質問

 

遺言・相続のQ&A

Q:遺言書にはどんな種類があるのか?

 遺言(ゆいごん。法律上は「いごん」と言います。)に法律上の意味を持たせるためには、民法で決まっている形式を取る必要があります。
遺言の種類は、法律上3種類ありますが、通常作成される遺言は、自筆証書遺言と公正証書遺言の2つです。
 自筆証書遺言は、遺言者本人が、遺言の全文・作成の日付・氏名を全て自分で書き、署名の下に自身で押印する形式の遺言です。
自分一人で作成可能で、内容を秘密にしておくことができる、また費用がかからないというメリットが
あります。その一方、訂正・補充の方式は厳格で、法律上の条件を満たさない遺言は、無効になってしまうこともあります。また、遺言が発見された際には「検認」という家庭裁判所での手続が必要になります。
 これに対し、公正証書遺言は、公証役場で、遺言者が、公証人の面前で、遺言内容を口で伝え、公証人が文章として作成するというものです。2人の証人が必要で、作成費用がかかるといったデメリットはありますが、公正証書としての遺言であるため、のちのトラブル防止には非常に有効です。
 なお、遺言には他に、秘密証書遺言があり、公証役場で厳格な手続きに基づいて作成されます。

Q:遺言書を書く、訂正等するにあたって気をつけるべきことは?

 遺言が有効であるためには、法律で決まっている形式や条件にかなっていなくてはなりません(「Q:遺言書にはどんな種類があるのか?」参照)。そうした形式や条件を満たしていない場合、せっかく書いた遺言が無効になってしまったり、また、内容があいまいなせいで、相続人間にトラブルを招いてしまうことがあります。
 また、遺言の訂正や撤回はいつでも自由にできますが、方式は決まっていて複雑です。なお、前の遺言と後の遺言の内容が食い違うときは、後者で前者を取り消したとみなされます。
 遺言作成を決めた場合、一度は専門家にご相談なさることをおすすめします。

Q.結婚したり、他の人と養子縁組をしたら、相続人でなくなるのか?

 結婚や養子縁組(ただし、特別養子縁組はのぞく)によって、相続関係が変わるものではありません。

Q:遺産分割とは?

 被相続人が死亡すると、そのすべての財産(プラス、マイナス両方の財産)は、死亡と同時に、法定相続人全員によって共同で相続されている状態になります。遺産分割は、あらためて、各相続人が、個別の相続財産を得る手続きです。

Q:遺産分割にあたって最初に重要なことはなにか?

 法定相続人の調査・確定がとにかく重要です。「音信不通の兄弟や行方不明の姉妹、誰も会ったことのない腹違いの兄弟姉妹」などは、相続人に含めなくてよいということはありません。こうした兄弟姉妹も、法定相続人であり、相続権があります。のちにトラブルになることを避けるためにも、戸籍謄本をたどって、法定相続人が誰かを正確に調査・確定しなければなりません。この作業が難しいときは、弁護士など専門家へのご相談をおすすめします。

Q:協議で遺産分割するさいに気をつけるべきことは?

 協議によって遺産を分割するためには、法定相続人全員が分割内容に合意することが必要です。
また、不動産の名義変更や、金融機関口座の名義変更を行うなどするためにも、遺産分割協議書を作成することがのぞましいです。遺産分割協議書には、被相続人、相続人、相続財産等についての情報が正確に記載され、また、相続人全員の署名押印がなされていることが必要です。詳しくは、専門家にご相談ください。

Q:遺産分割の話し合いがまとまらない、どうすればいいか?

 任意での話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に、遺産分割の調停を申し立てることをおすすめします。調停は、話し合いの手続きですが、家裁の調停委員が仲介となり、場合によっては調査官も手続きに加わります。なお、調停での話し合いもまとまらなかった場合は、審判という手続きに移行し、担当裁判官が遺産分割について判断を下すことになります。調停や審判の手続きをお考えの場合、手続きの詳しい内容や有効な進め方、また弁護士代理人をつけたほうが良いかどうかなど、弁護士へのご相談をおすすめします。

Q:遺留分とは?

 遺言とは別に、一定の法定相続人に、一定割合の財産を相続させる制度です。相続人が、遺言では何も相続出来なかった場合でも、一定割合については相続出来るとすることで、不公平の解消を図るための制度です。ただし、遺留分の請求が出来る相続人の中には、兄弟姉妹は含まれません。
 遺留分は、請求する法定相続人の法定相続分のうち、一定割合による請求が認められています(相続人が尊属だけの場合は3分の1、それ以外は2分の1)。たとえば、父が死亡し、母と子ども3人が法定相続人で、遺言によって長男が全て相続した場合は、母:2分の1×2分の1=4分の1、長男をのぞく各子ども:6分の1×2分の1=12分の1を遺留分として、それぞれ長男に請求出来ます。
 遺留分の請求は、原則として、相続開始等を知ったときから1年間経過すると、権利の行使が出来なくなるなど、期間の制限もありますので、お早めにご相談して頂くことをおすすめします。

Q:相続放棄はどのような場合にできるか?

 亡くなった方に多くの借金があるなど、事情によっては相続することを避けたい場合があります。このための制度が相続放棄です。
相続放棄は、原則として、相続が開始されたことを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に手続きの申立をする必要があります。相続放棄が認められると、相続開始の時にさかのぼって、相続していないことになります。
なお、相続財産である借金を支払ったり、相続財産の一部を処分したりすると、相続放棄することは出来なくなりますので、注意が必要です。

【成年後見など後見制度】

 高齢化が加速する日本において、ここ沖縄も例外ではありません。現実問題として、認知症などが原因で自分の財産が管理出来なくなったり、不必要な高額な買い物をしてしまう、ときには消費者詐欺の被害者になってしまう、といったことがおこりえます。
このように、判断能力が不十分になった場合の法律上の制度が、成年後見制度です。ご自身やご家族の安心・安全な生活のために、必要に応じて有効に活用すべき制度と思われます。

Q:後見制度にはどのような種類があるのか?

 大きく分けて、法定後見制度と任意後見制度があります。
法定後見制度は、今現在すでに判断能力に問題がある場合の制度であり、家庭裁判所に申立てを行うことで後見人等が選ばれる制度です。
これに対し、任意後見制度は、将来、判断能力に問題が生じた場合にそなえての制度であり、自身で、あらかじめ、後見人を選んでおく制度です。
(「Q:法定後見制度とはなにか?どんな種類があるのか?」「Q:任意後見制度とはなにか?」参照)

Q:法定後見制度とはなにか?どんな種類があるのか?

 本人の判断能力に問題があるとされる場合、家庭裁判所によって選任された、本人を保護・支援する立場の人が、本人を代理などして、本人の財産的利益を守る制度です。
 法定後見制度には、後見、補佐、補助の3つの種類があり、これは、判断能力の程度などの事情に応じて選ぶようになっています(判断能力が欠けていることが通常の状態の場合は後見、判断能力が著しく不十分な場合は補佐、判断能力が不十分な場合は補助)。
 後見においては、財産に関するすべての法律行為について後見人が代理し、また後見人は日常生活に関する行為以外の本人の行為を取り消すことが可能です。補佐や補助においては、一部の法律行為について補佐人等に代理行為が与えられ、また、重要な法律行為について補佐人等が取り消すことが可能です。

Q:法定後見制度を利用したい場合、どのような手続きが必要か?

 まずは、ご本人の判断能力に応じて、後見人、補佐人、補助人のいずれを選任してもらうかについて判断します。この際もっとも重要な資料は、専門医の診断書ですが、家庭裁判所への申立ての際に定型の診断書があるのが通常です。
 申立てにおいては、家裁の(定型の)申立書に必要事項を記入する、決められた添付書類をそろえたり(主に、財産や収入支出に関するもの)、必要書類を作成したり(収支表など)が必要です。
 申立て方法などが不明な場合、お気軽に弁護士にご相談ください。

Q:任意後見制度とはなにか?

 本人の判断能力に問題がない間に、将来的に判断能力に問題が生じた場合にそなえて、あらかじめ任意後見人を選んでおき、生活面や財産管理についての事務における代理権を与えるという制度です。任意後見人は、親族などのほかに、弁護士や福祉の専門家なども選ぶことが出来ます。
 具体的には、本人と任意後見人が、公証人が作成する公正証書において、任意後見契約を締結します。本人の判断能力が低下した後、任意後見人は、家庭裁判所が選任する任意後見監督人の監督下で、本人を代理するなどして任意後見契約で決めた事務を行います。なお、任意後見監督人の選任の申立ては、本人、その配偶者、任意後見人予定者、4親等内の親族等です。
当事務所の弁護士と任意後見契約を結ぶことができますので、ご自分の将来が不安な方にはお勧めです。
 任意後見制度は、自分で自分の将来のリスクを具体的に軽減できる制度です。くわしいことについては、ぜひ弁護士にご相談ください。

交通事故のQ&A

Q:交通事故にあったとき気をつけることは?

 その時は軽い事故だと思っても、必ず警察に事故の届出を行いましょう。これにより、交通事故による損害賠償請求のために必要な交通事故証明書が発行されることになります。また、けがの症状が後日出てくる場合もありますから、警察への届出は行うにこしたことはありません。
 警察から、事故についての事情聴取が行われますが、この際は、具体的事実を明確に主張しましょう。事故態様は、過失割合などに大きく関わってきますので、事故直後の事実の説明は非常に重要です。また、相手方の言い分を聞いた場合は、詳しいメモをその場で作っておくことも有効です。さらに、余裕があれば、現場の写真を撮っておきましょう。

Q:損害としてなにを請求できるのか?(人損)

 交通事故によってけがをした場合、損害として請求しうるものは、おおむね以下のものです。具体的に、どの項目をどの程度請求出来るかはケースバイケースですので、弁護士へのご相談をおすすめします。
・入院/通院治療費
・入院雑費、付添看護費
・通院交通費
・休業損害
・傷害慰謝料
・診断書作成料
(後遺症が残った場合は、以下も)
・後遺症の逸失利益
・後遺症慰謝料
※死亡事案の場合は、葬儀費用、死亡慰謝料(本人および近親者)、死亡逸失利益など。

Q:治療中気をつけることは?

 仕事が忙しいことなどを理由に、事故による身体の異変が生じていても、すぐに病院に行かなかったり、通院を極端に控える方がいますが、交通事故により傷害を負った場合は、必要十分な治療を受けるため、きちんと通院しましょう。本来通院の必要があった傷害を負っているにもかかわらず、きちんと通院しなかった場合、傷害と交通事故との因果関係が認められず、また治療費が十分に支払われなくなるおそれがあります。

Q:損害賠償の具体的な請求内容は、どの時点で検討するのがよいか?

 相手方(保険会社)に対する損害賠償として、具体的にどのような内容で請求するかは、交通事故によって負った傷害について治療が終了した(症状固定)時点で、検討し確定するのが一般的です。この時点で、「この交通事故によって最終的に生じた損害の全部」が確定するからです。もっとも、後遺症が残るおそれのある場合は、症状固定の時点ですぐに示談することはせず、後遺傷害認定の申請をまず行いましょう。後遺症の等級に該当するとの判断があった場合は、後遺症に関係する損害も請求出来ることになります(「Q:損害として何を請求出来るのか?(人損)」「Q:後遺症が残る可能性があるときはどうしたらよいか?」参照)。

Q:損害賠償の具体的な請求内容は、どの時点で検討するのがよいか?

 相手方(保険会社)に対する損害賠償として、具体的にどのような内容で請求するかは、交通事故によって負った傷害について治療が終了した(症状固定)時点で、検討し確定するのが一般的です。この時点で、「この交通事故によって最終的に生じた損害の全部」が確定するからです。もっとも、後遺症が残るおそれのある場合は、症状固定の時点ですぐに示談することはせず、後遺傷害認定の申請をまず行いましょう。後遺症の等級に該当するとの判断があった場合は、後遺症に関係する損害も請求出来ることになります(「Q:損害として何を請求出来るのか?(人損)」「Q:後遺症が残る可能性があるときはどうしたらよいか?」参照)。

Q:後遺症が残る可能性があるときどうしたらよいか?

 治療が終了しても、身体の欠損や変形、または痛みやしびれなどが残る場合があります。こうした後遺症が残っているおそれのある場合は、すぐに示談はせず、まずは後遺傷害認定の申請を行いましょう。認定は、損害保険料率算出機構が行い、保険会社あるいは被害者本人が申請します。
 後遺症の等級は、後遺症の重さに応じて第1~14級あり、級によって逸失利益や慰謝料(「Q:損害としてなにを請求できるのか?(人損)」参照)の金額が違ってきます。くわしくは弁護士におたずね下さい。

Q:過失割合とは?

 交通事故の過失割合とは、発生した交通事故について、各当事者の過失や不注意から決まる、責任の割合のことです。現在、交通事故においては、過失割合は裁判実務上類型化されており、この類型が基本の過失割合となります(例:信号機のある交差点で、両方青信号で進入した直進車と右折車が衝突した場合、2(直進車):8(右折車))。ここから、実際の事故の具体的事情を考慮し、割合を修正し、最終的な過失割合を決めます。
 過失割合は場合によっては複雑でわかりにくく、また、実際の事故の具体的事情を強く主張しないと、不当に高い過失割合での示談を結果的に強いられてしまいます。過失割合に納得がいかない場合は、ぜひ弁護士にご相談下さい。

Q:弁護士保険特約とは?

 自動車の任意保険の付帯契約として、「弁護士保険特約」というものがあります。これは、自動車事故などによる損害賠償請求をするにあたって、弁護士に相談したい、依頼したいという場合に、弁護士費用が補償されるというものです。通常の上限は300万円で、着手金・報酬・実費・日当といった弁護士費用がカバーされるという非常に便利な特約です。交通事故にあった際、ご自分の保険に付いていないか、今一度ご確認することをおすすめします。

離婚・子どもをめぐるトラブルのQ&A

Q:離婚するための手続きにはどのようなものがあるか?

 離婚の手続きは、大きく分けて、協議離婚、調停離婚、裁判離婚があります。
協議離婚は、離婚届を役所に提出する手続きのみで成立し、離婚届を提出した時点で離婚が成立します。
  調停離婚は、家庭裁判所での手続きである調停(いわゆる離婚調停)が成立することで成立し、調停が成立した時点で離婚が成立します。離婚届は、届出の必要はありますが、一方当事者だけで提出可能です。調停成立にあたっては家裁が調停調書を作成し、そこに当事者間で合意した離婚の条件などが具体的に記載されています。
裁判離婚は、協議離婚や調停離婚がかなわず、家庭裁判所での訴訟による判決の確定によって成立する離婚です。判決は、調停調書とは違い、両当事者の合意内容ではなく裁判官の判断が記載されたものです。もっとも、訴訟手続きの中で、あらためて当事者間で話し合いを行い、和解によって離婚が成立する場合もあります(訴訟上の和解)。
どの手続きが離婚トラブルを解決するためにもっともふさわしい手続きかは、ケースバイケースですし、それぞれの手続きにメリット・デメリットがあります。まずは弁護士にご相談下さい。

Q:離婚する際、公正証書を作成するべき?

 協議離婚をするにあたって、公正証書を作成したほうがのぞましい場合があります。養育費、財産分与、慰謝料、解決金などの金銭の支払いが将来的に継続して行われる場合や、面会交流について具体的な取り決めを行う場合です。
公正証書は、公証役場で作成される、公文書と同様の効力があるとされる書面であり、特に金銭の支払いにあたっては、強制執行することが可能である旨の文言をつけることが出来ます。そのため、上記のような場合については、特に金銭の支払いを確保するため、公正証書を作成することをおすすめします。一方、離婚や親権者以外の取り決めが特にない場合は、作成に費用がかかることもあり、あえて公正証書を作る必要はないといえます。
なお、調停離婚や裁判離婚においては、強制執行力のある調停調書や判決を裁判所が作成しますので、公正証書の作成は不要です。

Q:離婚するにあたって決めるべきことは?

 未成年の子どもがいる場合は、親権者を決めないと離婚することはできません。
 また、子どもがいる場合は、養育費や面会交流について具体的に決めることを強くおすすめします。(「Q:養育費とは?」「Q:面会交流はどのように決めるのがよい?」参照)
 さらに、慰謝料が支払われるべき事情がある場合は、慰謝料の金額や支払い方法について、夫婦共有財産がある場合は財産分与の具体的金額や方法について、ぜひ決めるべきと思われます。(「Q:離婚にあたって慰謝料を請求する場合とは?」「Q:財産分与とは?」参照)
 なお、離婚後でも、養育費や面会交流の取り決めを行うことは出来ますし、一定期間内であれば、慰謝料や財産分与の請求も可能です。もっとも、可能な限り、離婚するにあたって、これらについて総合的に話し合い、抜本的な解決を一挙にはかることをおすすめします。

Q:親権者はどのように決められる?

 親権とは、子どもを実際に育て、教育し、また財産を管理するといった、父あるいは母に与えられた権利・義務の総称です。日本では、離婚後の親権について、単独親権制度を取っているため、離婚の際に、父と母のいずれか一方のみを親権者として決めなければなりません。両親の話し合いで決められない場合は、離婚調停での話し合いや離婚訴訟での判決によって決定することとなります。こうした家庭裁判所の関与によって親権者が決められる場合、親権者をどちらにするのが適切かという判断は、「子の福祉」の観点からなされます。子どもが心身ともに健全に成長できるための良好な環境であるかどうか、という観点です。そして、判断の主なポイントとしては、現時点までの子どもの監護養育に父母がそれぞれどのような役割を果たしてきたか、現時点でどちらが実際に監護しており、子どもはどのような状態であるか、将来的に父母それぞれどのような監護養育を行うことができるか、といったことが考えられます。
 もっとも、親権者とならなかった父親あるいは母親も、子どもの親であることに変わりはなく、離婚後も両親ができるだけ協力して、子どもの成長をサポートしていくことが望ましいといえます。この点、養育費や面会交流は、子どもにとって大切な制度といえましょう。(「Q:面会交流はどのように決めるのがよいか?」「Q:養育費や婚姻費用の適正金額は?」参照)

Q:面会交流はどのように決めるのがよい?

 面会交流とは、子どもと別居している親が、子どもと面会などの交流をすることです。子どもを直接監護養育していない別居親も、子どもの親として、子どもの健全な成長をサポートすべきであることはいうまでもなく、これは、離婚後親権者とならなかった父親あるいは母親についても同じです。ですから、面会交流を行うことは一般的に望ましいことであり、離婚後も両親が子どもの成長を見守る形を整えることが大切です。
こうした面会交流で最も重要なことは、「子の福祉」の観点を常に持つことです。子どもにとって望ましい面会交流はどのようなものかー面会の回数・頻度、面会場所、面会時間、宿泊の有無などーを、子どもの年齢、成長度合い、体調、日々のスケジュールや行事・習い事などを総合考慮し、子どもに負担がかからない形で決めることが必要です。そのため、場合によっては、手紙や電話、メールのやり取りのみが行われるということもあります。また、別居親が子どもに身体的ないし精神的虐待を行っていたといった例外的なケースでは、面会交流自体が認められないこともあります。

Q:養育費とは?

 養育費は,子どもが健全に成長するために必要な費用のことです。離婚にあたっては、具体的に、養育費の金額や支払い方法、支払期間などを決めることが非常に大切です。一般的には、月額払いとし、毎月の支払日を特定し、支払い方法は子ども名義の口座への振り込みとし、支払期間は原則20歳まで、といった内容で決めます。
 子どもの心身の健やかな成長のために、両親で責任を持って内容を決め、そして履行することが大切です。たとえば、子どもが大学や同様の高等教育機関に進学することを考慮して支払期間を決めたり、子どもに持病がある場合は医療費を考慮して金額を決めたり、などです。(「Q:養育費や婚姻費用の適正金額は?」参照)
 なお、養育費そのものではありませんが、入学費用などの特別の教育費や、重い病気やけがなどにかかる特別の医療費の支払いについても、話し合うことがのぞましいです。

Q:婚姻費用とは?

 婚姻費用は、夫婦と(子どもがいる場合は)子どもの生活を維持するために必要な費用であり、夫婦が別居している場合には、婚姻費用の分担が必要です。具体的には、収入が多い方が少ない方に支払います。法律上夫婦は相互に扶助義務を負うとされていることからも、婚姻費用の分担は非常に重要です。
 当事者同士の話し合いで婚姻費用の支払いについて当事者同士の話し合いが困難な場合は、できるだけ早く、家庭裁判所に婚姻費用分担請求の調停を申し立てることをおすすめします。
(「Q:養育費や婚姻費用の適正金額は?」参照)

Q:養育費や婚姻費用の適正金額は?

 父と母の間で、十分に話し合った結果であれば、養育費や婚姻費用の金額に特に制限はありません。もっとも、(元)配偶者や子どもの生活への配慮や、一方で支払う側の収入状況への配慮は必要と思われます。
 両者の話し合いで決まらない場合は、まずは家庭裁判所の調停の手続きであらためて話し合うこととなります。それでも決まらない場合は、家裁の審判(裁判官が,当事者から提出された書類や家庭裁判所調査官が行った調査の結果等種々の資料に基づいて判断し決定する手続き。当事者間で決めた内容で成立する調停とはまた異なります。)で決定されることになります。家裁での判断においては、夫婦それぞれの収入、子どもの人数や年齢、その他個別の事情を総合考慮し、金額が決定されます。
 なお、現在、家裁においては、特別な事情がないかぎり、養育費や婚姻費用について、夫婦それぞれの収入、子どもの人数や年齢に応じて金額を計算した「算定表」と呼ばれる資料とほぼ同額の金額で決定されることが多いです。算定表は、インターネットなどでも見ることができます。

Q:財産分与とは?

 夫婦が結婚し、生活を共にする中で形成された財産は、夫婦のなんらかの協力関係によって築かれたものといえます。したがって、離婚に際し、こうした財産(夫婦共有財産)の精算を行う場合があり、これが財産分与です。
 夫と妻、どちらの名義の財産も、結婚後増えたものは、原則として潜在的な持ち分が2分の1ずつあるとみなされます。このことから、離婚ないし別居の時点での、夫及び妻名義の、結婚後ないし同居後増加した財産を全て金銭評価し、合計したものの2分の1において、それぞれ権利があることになります。
 したがって、財産分与は通常、2分の1を超えて自分の名義の財産を持っている方が、そうでない方に、2分の1に満つるまで、財産を渡すことで行われます。
 相手名義の財産としてどのようなものがあるかわからず調査をしたい場合、夫婦共有財産の範囲がはっきりしない場合、分与の具体的方法について話がまとまらない場合など、まずは弁護士にご相談頂ければと思います。なお、財産分与は、離婚の時から2年をこえると出来なくなってしまうのが原則ですので、ご注意ください。

Q:離婚にあたって慰謝料を請求する場合とは?

 「相手のせいで離婚する羽目になったのだから、慰謝料請求したい」「離婚することになり深く傷ついたので、慰謝料請求したい」という場合であっても、法律上当然に慰謝料請求権が認められるわけではありません。慰謝料とは、相手の違法・不法な行為によって精神的苦痛が生じた場合に、請求できるものです。もちろん、当事者間の任意の話し合いによって、離婚に際して解決金ないし和解金を支払うことは通常問題ないのですが、「慰謝料」請求が、仮に訴訟になった場合に認められるかどうかの判断は別です。
 また、不貞や身体的暴力といった原則として不法行為にあたることが明らかな行為ではなく、精神的暴力、経済的暴力などは、不法行為といえるかどうかの判断が難しい場合もあります。
 なお、離婚に伴う慰謝料請求は離婚の時から、離婚しない場合の慰謝料請求は不貞などの行為とその行為者を知った時から、3年をこえると出来なくなるのが原則ですので、ご注意ください。

Q:年金分割とは?

 年金分割は、離婚後に、相手の納付した年金保険料の一部を分割し,それを片方が受け取ることができるという制度です。ここで、分割されるのはあくまでも、「厚生年金保険の部分」と「共済年金の部分」に限られます。
 なお、年金分割には、必ず「年金分割のための情報通知書」という書類が必要です。また、50歳以上の方であれば、「年金分割を行った場合の見込額のお知らせ」という書類がもらえます。こうした書類がどこでもらえるかですが、
・厚生年金 年金事務所
・国家公務員共済年金 現在相手が勤務している各省庁の共済組合
(退職後は国家公務員共済組合連合会年金相談室)
・地方公務員共済年金 現在所属している共済組合又は過去に所属していた共済組合
・私立学校教職員共済年金 日本私立学校振興・共済事業団共済事業本部広報相談センター相談室
となります。
 年金分割は、離婚した日の翌日から起算して2年をこえると、出来なくなってしまうのが原則ですので、注意してください。

労働トラブル、労働災害のQ&A

Q:会社から解雇すると言われました。どうしたらよいですか?

 解雇とは労働契約を解約させる会社からの一方的意思表示ですが、労働者の生活の糧を奪うことになる可能性があるため、解雇できる場面は労働契約法上限定されています。つまり、社長や上司が気にいらないからと言って、あなたを解雇することはできません。解雇には懲戒事由がある場合にいわば「制裁」として行われる懲戒解雇と、懲戒事由などはないのに行われる普通解雇があります(病休をとり一定期間経過後に解雇される場合や、職務遂行能力が著しく欠如している場合に行われる解雇される場合など)。人員整理の目的で行われる整理解雇も普通解雇の一種と考えることができます。
 解雇は、適法に行われるためには、それぞれ法律上の要件がありますので、解雇をすると言われた時には、上に述べた懲戒解雇と普通解雇の区別を念頭におきながら、どの解雇が行われるのか(どういう理由で自分がクビにされるのか)を明確にすること(会社に文書で明示してもらうこと)がまず重要です。解雇は時間との勝負でもあります。まずは弁護士にご相談ください。

Q:解雇を争いたいのですが、収入がなく、裁判を行うことができません。

 会社から解雇された場合に裁判で解雇の無効を争う場合、通常は判決が出るまで元の職場には戻れず給料も出ません。しかし、それでは、短くても数か月程度、長いと1年以上かかる解雇無効の裁判を行うことに大きな不安を感じると思います。このような場合、一定の場合には賃金仮払いの仮処分を申立て、裁判の結論が出るまで「仮に」給料をもらい続けることができます。もちろん、解雇が有効であれば、「仮に」支払われた給料は返却しなければならないのですが、賃金の仮払いは解雇が無効である蓋然性が高い場合に生活の糧を得ながら裁判を行うことができる重要な手段となっています。

Q:連日長時間働いているのに会社からの給料が低すぎるのですが

 労働者の給料に関しては最低賃金法が最低賃金を定めています。会社はその最低賃金以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。多くの労働者にとっては都道府県ごとに定められる地域最低賃金が大切です。自分の給料が最低賃金以上かどうかを確認するには、給料を、法律の範囲で会社が定めた通常の労働時間(所定労働時間)で割った金額(時給)とその会社がある都道府県の最低賃金の額を比べます。原則として、給料は最低賃金を超えていなければなりません。給料の額が低すぎる場合には、給料が最低賃金を上回っているか確認してみてください。沖縄県の最低賃金(時間額)は693円(2015年11月25日現在)です。
 さらに、連日長時間働いている場合、1日8時間、週40時間という法律で定められた労働時間(法定労働時間)以上の労働をしていないかを確認してみてください。法定労働時間を超える労働(一般には残業と呼ばれています)をしている場合、残業代が支払われなければなりませんが、この残業代が支払われていない可能性があります。詳しくは弁護士にご相談ください。

Q:会社が残業代を支払ってくれません

 残業が発生しているにもかかわらず、残業代が支払われていない場合には会社に対し、残業代を請求できる可能性があります。その際、重要なことは労働契約書や就業規則を確認し、所定労働時間を確認することと残業に関する取り決めなどがなされているかを確認することです。また、残業の立証には通常タイムカードを使いますので、タイムカードのコピーなどを確保しておくことが望ましいです。残業代は2年間の時効にかかります。2年以上前の残業代は原則として請求できません。まずは弁護士にご相談ください。

Q:会社の業務中に怪我をし、障害を負いました。

 会社での勤務時間中や通勤時間中に怪我などを負った場合や死亡した場合などには労災保険の適用がある場合があります。会社が労災保険料を支払っていなくても、労働者は労災保険を受けることができますので、あきらめずに相談してください。労災保険の保険給付は、療養保険給付などで2年の時効に、障害補償給付などで5年の時効にかかりますので、早めに相談しましょう。労働災害により損害を負った場合、労災保険とは別に会社に対し民事上の損害賠償請求をすることができる場合があります。この場合、保険給付を受けた部分は控除されます。他方で、慰謝料など労災保険では支払われない部分については、民事上の損害賠償請求をして支払いを受けるしかないので、会社に対する損害賠償請求も視野にいれておく必要があります。

Q:働きすぎが原因で発病し死亡しました。

 働き過ぎが基になって脳や心臓の疾患を発症したり、その発症で死亡したりした場合(過労死)、また働きすぎが原因で精神障害をり患して自殺した場合(過労自殺)についても、それが「業務上」の事由による疾病または死亡である場合には、労災保険が適用される場合があります。特に発症前1か月間に100時間以上または発症前2~6か月間にわたって一か月あたり80時間以上の残業を行っている場合には業務と発症との関連性が強いとされています。これに該当しない場合でも保険給付を得られる場合もありますので、是非ご相談ください。過労自殺については厚生労働省が発表している「心理的負荷による精神障害の認定基準」という一応の基準があります。この基準に基づいて心理的負荷の強弱を判定してゆきますが、最終的に業務起因性が認められるかどうかについては、保険給付については労働基準監督署が、民事の損害賠償については裁判所が決定します。

Q:上司のパワハラがひどくて困っています。

 パワーハラスメント(パワハラ)とは、上司が職務上の地位、権限を不当に利用して、部下の人格や利益を損ねるもので、職場における人格権侵害の一類型と考えられています。もっとも、会社は事業を運営し利益を出すために、社員に対して業務上の指示をすることができますし、一定の場合に注意や叱責を行うこともできます。上司の言動が適正な業務指導の範囲内である場合には、その行為が直ちに違法となるわけではありません。他方でそのような業務指導の範囲を逸脱した言動は違法性を帯びることがあり、民事上の損害賠償請求を行うことが可能な場合もあります。業務と関連性のない人格非難や、ミスなどに対する過度のペナルティーは適切な業務指導とは言えない場合が多いと考えらえられます。

不動産関係のQ&A

Q:前のアパートから今のアパートへと引っ越してきましたが、前のアパートの大家さんが敷金を返してくれません。また、新しいアパートは大雨の日などに雨漏りがします。

 敷金に関するトラブルは金額がさほど大きくならないことが多く、弁護士に相談するほどではないと考えられているかもしれません。しかし、実際にトラブルになることが多いことも事実です。敷金とは、賃料その他賃貸借契約上の債務を担保する目的で賃借人が賃貸人に支払うお金です。担保の目的なので、アパートを退去するまでは家主が保管し、実際に未払い賃料等への充当の必要がない場合には退去後に返還されます。よく問題となることの一つは部屋に損害を与えた場合でしょう。壁に穴を空けてしまったり、窓ガラスを割ってしまったりした場合など、明らかに通常の利用方法を超えて部屋に損害を与える場合もありますが、多くは細かな傷や日常の利用によって生じた損耗だと思います。一般的な基準としては、通常の用法に従って部屋を利用したことにより生じる損耗は敷金から差し引かれません。他方で、それを超えて部屋に損害を与えた場合などは、賃借人に支払い義務が生じ、敷金から差し引かれる場合があります。争いになる場合の典型例は「クリーニング費用」「修繕費用」などでしょう。このような費用は費目だけからは内容が分からないので、出費の内容を家主に確認するようにしましょう。「修繕費用」の名目で敷金から新品の家具などを購入することはできません。
 引っ越した先のアパートが雨漏りする場合、原則として家主に対して雨漏り部分の修繕を求めることができます。また家主が雨漏り部分の修繕を行わない場合、業者に修繕してもらいその費用を家主に請求することもできます。具体的な請求方法などについては弁護士にご相談ください。

Q:自宅の新築を建築業者にお願いし一応完成しましたが、注文通りの建物でないことがわかりました。代金の支払いを拒むことができるでしょうか。

 自宅の新築を建築業者にお願いし一応完成しましたが、注文通りの建物でないことがわかりました。代金の支払いを拒むことができるでしょうか。
 家の新築など、建築に関する契約は通常請負契約となります。建物建築の請負契約は建築業者(請負人)が依頼者(注文主)の注文にしたがって建物を建築し(仕事の完成)引き渡すことを内容とした契約で、依頼者は仕事の完成に対して代金(請負代金)を支払う義務を負います。建築業者は通常請負人として、①建物の建築義務(仕事の完成義務)、②完成した建物の引き渡し義務(目的物引渡義務)、③建物に問題があった際の補償の義務(担保責任)を負います。裁判例では、仕事の完成義務は請負工事が当初予定していた最後の工程まで一応終了し、建築された建物が社会通念上建物として完成しているかどうか、建物の主要部分が契約通り施工されているかどうかで判断しています。この基準に従って建物が一応完成している場合には、建物が完成していないことを理由として請負代金の支払いを拒むことはできません。もっとも、建築された建物に欠陥(瑕疵)があった場合には、修繕の要求をしたり、修繕の代わりにお金の支払いを請求したりすることができます。建物が一応完成した後は、このような欠陥(瑕疵)があったことを理由として契約を解除することはできません。
 欠陥(瑕疵)があったといえるかどうかは、完成された建物が契約の内容通りではなく有すべき性能を欠いているか、または、当事者があらかじめ定めた性質を欠くなど不完全な点を有するかどうかで判断します。そのため、建物の請負契約においては、合意の内容(使用する建材、性能、仕様など)を確定することが重要となります。それによって建築業者の義務の内容が決まってくるからです。まずは弁護士にご相談ください。

債務整理のQ&A

Q:任意整理とはどんな方法でしょう?

 借金を、ご本人が実際に返済できる方法で、原則として全額ないしそれに近い金額で、任意に返済するための方法です。
 借金の総額、ご収入、家計の収入支出状況などから、月々返済可能な金額を決め、分割して支払っていくのが通常です。
 任意整理は、
・自己破産や個人再生といった裁判所の手続きとちがい、任意で借金を整理する方法なので、比較的かんたんに行うことが出来る。
・借金を全額返済することが出来る。
・借金の全てではなく、一部だけを整理することも可能(自己破産や個人再生は、大原則、すべての借金を手続きにのせなければなりません)。
といったメリットがある一方で、
・無理のある返済計画を立てた場合や、収入状況が大きく変わってしまった場合、返済を続けられなくなり、あらためて個人破産や再生といった債務整理手続きを取らなくてはならなくなる。
・一部だけを整理した場合、残った借金がまたふくらんでしまう。
 といった問題がおこることもあります。

Q:自己破産とはどのような手続きですか?

 借金の返済をすることがむずかしく、現在の収入や財産だけでは全額を返済することができない場合の方法として、自己破産の手続きがあります。
 自己破産は、裁判所に申立てをします。手続きの中で、裁判所は、申し立てた本人が破産状態(債務超過=プラスの財産よりマイナスの財産のほうが多い)にあるかを判断します。破産状態にあることが認められれば、日常生活に必要な家具などの財産をのぞき、不動産などの高価な財産を売却して、債権者に公平に配当することになります。
 一方、特に高価な財産がなければ、配当をしないまま、「免責が許可」されることにより、法律上の支払義務が免除=借金の支払をする必要がないとされます。
 自己破産は、
・免責が許可されない目立った事情がなければ、免責されることで、借金全額を支払わなくてすむようになり、生活の建て直しがしやすい。
という点が大きなメリットです。
 その一方で、
・プラスの財産がある場合は、債権者の配当にあてられる。
・職業によっては、免責が確定するまで、その仕事をすることが出来なくなる。
・手続きが複雑でめんどうな場合がある。
といった、場合によってはデメリットもあります。

Q:個人再生とはどういう手続きですか?

 個人再生は、裁判所への申立てによって、法律の定める範囲で各債権者に対する返済総額を減額し、その減額した借金を原則として3年間で返済することによって、残りの借金の支払義務が免除される方法のことです。
 個人再生は、
・破産とはちがい、財産を手放さずに借金を減らすことができる。
 住宅ローンが残っている自宅がある場合、ローンの支払いを続けながら、その他の借金を返済することができるため、自宅を手放す必要がありません(もっとも、法律上の要件があります)。
・借金ができた理由は問われないので、自己破産手続で免責が許可されないような事情があるばあいでも、安心して 利用することができる。
・一部であっても、借金を返すことができる。
といったメリットがあります。その一方、
・返済中に収入状況が大きくかわり、返済できなくなり、結果自己破産をせざるをえなくなる。
・利用するための条件として、収入が一定期間安定していることが必要なため、収入に大きな変動があった場合は利用がむずかしいことがある。
 といった問題があることもあります。

 

 弁護士が依頼を受けた場合、こうした方法のうちどれが一番よいかを、ご本人とよく相談の上、客観的な事情にもとづいて決めていくことになります。

Q:金融業者から借金をし、毎月返済してきましたが、なかなか借金がなくなりません~過払い金請求~

 借金については、利息制限法という法律が金利(利息)の上限を定めていますが、いわゆるグレーゾーン金利(利息制限法の上限を超えるが、出資法が違法と定める金利には満たない金利)での貸し出しが横行していました。例えば元金80万円の借り入れをした場合、利息制限法では利息の上限は18%となりますが、出資法では29.2%の利息を超えるときに違法(刑事罰があります)となります。そのため、多くの業者が18%以上29.2%未満の金利で貸し出しをしていました。手元にある借り入れの契約書(一番最初に借り入れした時のもの)を見てみましょう。借入元金が10万円以上100万円未満の場合で金利が18%を超えている場合は、借金を減らせる可能性が十分にあります。また、このような金利で返済を長年にわたって行っている場合、すでに借金を完済し、払い過ぎとなっている場合もあります(過払い)。そのような場合、払い過ぎたお金を取り返すことができるかもしれません。一度弁護士とご相談ください。

Q:警備業を営んでいますが、自己破産できるでしょうか。

 自己破産のデメリットとして、一定の職業に就くことができなくなることがあります。破産手続を開始して(開始の決定を得て)から復権を得るまでの間は、警備業を営むことはできませんし、破産前から警備業を営んでいたとしても、公安委員会により警備業の認定を取り消される可能性があります。同様に、警備員として働くこともできません。もっとも、このような就業の制限は破産を申し立ててから復権を得るまでの間のことなので、一生そのような職業につけないということではありません。警備業の他にも、証券外務員(金融商品取引法第64条2)、旅行業者(旅行業法第6条5)、一般建設業(建設業法第8条)、宅地建物取引業(宅地建物取引業法第5条)にも就業制限がありますし、取締役は会社との間の委任関係の終了原因となります(民法第653条2)。
 上記のようなデメリットから自己破産が難しい場合、あるいは前の破産から7年経過していない場合でも、個人再生手続などで借金を減額したうえで、生活再建を図ることも可能です。まずは弁護士に相談ください。